「お~い、みんな聞いてくれ。今日から『サイバー犯罪対策課』で勤務してもらう、根戸(ねと)君だ」
「初めまして、根戸です。念願の警察官になれて嬉しいです。えっと、ネットは好きでよく見てますので、きっとお役に立てると思います。よろしくお願いします!」
「おい、上部(うえぶ)。お前に根戸君の教育係をやってもらう」
カタカタカタカタ……。
「上部、聞いてるのか?」
カタカタカタカタ……。
「今ニコ動にコメントしてるんで待ってください」
「なんだと?」
「うはははは! なんだこのぬこ。ワロス!」
「上部、ネットをやめろ!」
「あっ、何するんですか間締(まじめ)所長! いいとこだったのに」
「何がいいとこだ。勤務時間中だぞ」
「チェッ。で、僕に何の用です?」
「根戸君の教育係をやってもらいたい」
「は~? 嫌ですよめんどくさい。他を当たってください。僕は仕事で忙しいんです」
「課長、この人大丈夫なんですか……? 『だが断る』ってTシャツ着てるし……」
「まあ『サイバー犯罪対策課』は私服勤務だからな。こんな奴だが、捜査した事件の犯人検挙率はナンバーワンなんだ」
「えっ、そうなんですか!?」
「おいおい新人君、失礼なこと言ってくれるねえ。それに君、さっき挨拶で『ネットは好きでよく見てる』って言ったよね?」
「はい。それが何か?」
「『よく』って、何時間?」
「1日1時間くらいです」
「はあ~? 子どものゲームじゃん。話にならんね」
「じゃあ上部さんは、一日どれくらいネットを見るんですか?」
「20時間超」
「えっ!? ギャグですか?」
「まず朝起きてスマホでネット見るだろ。通勤の間はタブレットでネット。仕事中はここでずっとアクセスしてるし、家帰ったらノートパソコンで寝るまで見てる」
「廃人……」
「誰が廃人だ! にっくきサイバー犯罪を取り締まるためだ」
「でもさっき猫の動画見てましたよね……」
「猫ではない、ぬこだ」
「まあまあ二人とも。そんな訳で上部、新人教育よろしく」
は~、めんどくさ~。
「上部さん、僕何をすればいいですか?」
「好きにすれば?」
「じゃあちょっと早いですけど、昼ごはん食べていいですか?」
「さすがゆとり……。勝手にしろ」
「妻が弁当作ってくれたんです。これ見てください、リラックマのキャラ弁。かわいいな~。かわいすぎて食べられないよ。上部さんにもあげましょうか?」
「……低い」
「えっ、何ですか?」
「リラックマのクオリティが低すぎる」
「ちょっと! いくら先輩だからってヒドイ」
「文句があるなら、hiyoko555さんのサイトを見てから言え」
「ヒヨコゴーゴーゴー? 何ですかそれ?」
「ネットにリラックマのキャラ弁をのせてる人の名前だよ。ほら、このサイトだ」
「ええっ!? リラックマがたまごの布団にくるまれて寝てる!」
「どうだ、すごいだろ? まだあるぞ」
「ああっ、風呂に入ってる! なんて気持ち良さそうなんだ」
「な、これ見たらお前の嫁のキャラ弁なんてクソだろ?」
「ううっ、確かにクソですね……。ってそんな言い方しなくても! はあ、この人とうまくやっていけるだろうか……」
★今回捜査したサイト
hiyoko555のカレンダー
この物語はフィクションですが、著者がネット見まくりなのはホントです
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リラックマのおべんとうをつくるなんてすごい